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- 作者: 新藤宗幸
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2009/08/20
- メディア: 新書
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中世の官僚と呼ばれる人たちを研究対象としている身としては、一応読んでおかねばと思い、買って読んでみた。
最高裁判所には最高裁事務総局というのがあって、そこに配属される裁判官なんだけど行政官の人たちが人事権を握っていて、全国の裁判官を人事面から統制しているというもの。
事務総局の局員のキャリアや統制の実態にまで踏み込んでいて、日本の司法が抱えている問題がよくわかる。
しかしなんというか、所々に「〜とされている」とか「〜といわれている」とか割と不確定な要素に立脚している点が目について、どこまでが本当なのかなあと思ってしまった。裁判所自体が秘密主義なところがあって、資料が少ないという事情もよくわかるんだけど。
岩波新書全般に言えることなのかもしれないが、到達点の評価が少なく、課題点を挙げてたたきまくる姿勢自体にちょっと違和感。
現実的にどうしていけばいいのかという点についても、ちょっと物足りない感です。少なくとも門外漢にはそう見えたと言うことで。
ただ最高裁がどのように運営されていて、制度的にどのようになっているのかという点は非常に興味深く拝読しました。会議体のあり方など。
中世の法制には直接援用できないけど、とても参考になりました。