■
- 作者: E.H.カー,E.H. Carr,清水幾太郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1962/03/20
- メディア: 新書
- 購入: 14人 クリック: 227回
- この商品を含むブログ (123件) を見る
現役の時に読んでおきゃよかったと思った歴史学徒必携の書。
以下、ネタバレ。
歴史とは何かという歴史学をやる上での至上命題について、カーは「現在と過去との対話」と言っています。
対話ってなんだ?対話って2人いないとできないし、2人は話をすることで相互に影響し合うよね。影響しあってお互いが変わっていくってことだね。
彼氏彼女の事情だね。
歴史とは、彼氏彼女の事情である。
歴史家と歴史的事実の関係だってそうだね。男がたくさんいる女の中から特定の女を選ぶかのように歴史的事実を選ぶ。足利尊氏が幕府を開いたという事実と、上桂庄の農民が毎朝ご飯を食べていたことは両方とも事実だけど、歴史家が発見し整理するまでは歴史的事実にはならない。
極論を言えば歴史は歴史家が作るもの。そして歴史家も歴史的産物である限り、その時代その時代の社会的影響を受けているのであります。社会科学一般は人間関係を研究する科学ですけど、人間を対象にしているだけに、観察する側も観察される側の行動で影響されるし、観察される側も観察結果に影響されて行動が変わるんです。
まさに人間関係ですね。人と人が出会って相互に行動が変わっていく。
歴史学とはこういうことを研究する学問なんですね。
現在ってどんどん過去になっていきますよね。どんどん未来が現在になっていきますよね。
著者は「歴史とは現在と過去との対話」と言っていますが、本文の中で以下のように言い直しています。
歴史とは過去の諸事件と次第に現われて来る未来の諸目的との間の対話と呼ぶべきであったかと思います。
先々どうなるかということに対して、過去との関係で考察する。これってすごいことだと思います。