予定通り、行ってきましたよ。


若冲展―開基足利義満600年忌記念―


相国寺でずっと行われていた観音懺法会で掛けられていた釈迦三尊図と動植綵絵が明治時代に離されて以来、120年ぶりの再会でした。


動植綵絵自体は去年も宮内庁三の丸美術館で公開されていたような記憶はありますが、里帰りは初めてなのです。


そして若冲の作品自体はちょっとみている私も、若冲の代表作である動植綵絵は見ていなかったので、大変に期待していたのです。



展覧会自体は、動植綵絵だけでなく観音懺法会に関連する道具があれこれと若冲水墨画の最高傑作と言われている鹿苑寺大方丈襖絵が来ていました。それに加えて、今回に先立ち行われた調査で初めて見つかった作品も飾られています。



襖絵は若冲得意の葡萄や芭蕉、鶴といったテーマで大ぶりの絵画が展示されていました。これも非常に力のある筆致で、迫ってくるものがありました。若冲の虎とか鯉も単発で展示されていました。



それはまあまあだったんですが、やっぱりよかったのは、動植綵絵ですね。


当時展示されていた順番は正確な資料がないからわからないらしいのですが、周辺資料から推定し、その順序で展示していました。当時は今は焼失してしまった山門で飾られていたそうなんですが、その順番です。


動植綵絵は30幅あるんですが、ひとつとして同じ構図、同じものがない!!すごい!!魚や貝、爬虫類、両生類、虫からメジャーな鶏、鴈などのテーマを描いています。いやあ、もう空間に入った瞬間に、当時の様子が思い起こされ、その迫力に心を打たれました。


見る人を囲むように動植綵絵釈迦三尊像が掛けられているのです。


一つ一つに述べませんが、有名な群鶏図(若冲独自の様式化された鶏が全部で13羽)、老松鳳凰図、紫陽花双鶏図などなどやっぱ有名な絵はそれ相応のゆえんがあるように思いました。


若冲の水墨で鶏を書くと、しっぽがギュゥゥゥン・・シャッ!っていってたり、首の部分の毛がトゲトゲだったり案外目がくるっとしていて可愛かったりするんだけど、動植綵絵はそういういわばドギャーンってのを排除しているように思いました。


どれひとつとっても一筆一筆に神経が込められていて、それが画面いっぱいに凝縮されているのです。まさにズキュゥゥゥン!って感じでした。


若冲って敬虔な仏教徒って解説にもあったけど、まさにそれですよ。山川草木悉皆成仏。それを描きたかったんだね。


どの絵も甲乙つけがたいけど、強いて言うのであれば、紫陽花双鶏図と雪中錦鶏図。


私は紫陽花が大好きなのですが、もうそれだけでもポイント高いのに、それが若冲の鶏がおかれることで、様式美に高められています。もうとってもとってもグッド。画面目いっぱいに艶やかな紫陽花が。鶏がまためちゃきれい。


雪中錦鶏図はもう雪がすごすごる。榧(かや)の葉の上に雪がかかっていて、真中に鮮やかな色をした錦鶏がいる。鶏の胸は真赤に彩られていて、真っ白な雪のなかにそれが目を引く。


でも雪が、雪が、雪が!!


榧(かや)の葉になんであんなネバネバでかかるの??なんで雪に穴があいていて、そこから山茶花が顔を覗かせている。雪は降り続き、つもり、融けていく。なんでああいう構図を思いつくの??なんでああいう色彩感覚なの??


動植綵絵は書き上げるまでに10年かかっているらしい。誰に薦められたわけでもなく、描き始めたらしい。動植綵絵は鶏の羽の毛の一本一本まで超丁寧に書きあげられている。それを10年も続けるなんて、変人と超人を合体させた人なんだろうな。


枡目書の鳥獣花木図屏風を見た時も思ったけど、絵を描くのが好きなんだなあ。それに仏道にも熱心だったんだなあ。


また見たい。でも京都にやってくることなんてないんだろうなあ・・・相国寺にまた戻ってこないかなあ!!