惜別 (新潮文庫)

惜別 (新潮文庫)

↑これに入っています。

人モ家モ、暗イウチハマダ滅亡セヌ
 
 といったのは太宰治『右大臣実朝』ですね。ほんとはこんなこといったわけではありませんが、とても印象的な一言です。


 また「関東ハ源家ノ任地デシタガ、北条家ニトッテハ関東ハ代々ノ生地デス。気持ガチガイマス」と実朝をして、言わせしめたのは、こんなことほんとはいっていないとしても、鎌倉武士と東下りの将軍との違いを見せ付ける、歴史をやっている私にとっては重みのある文章でした。


 なんかこの物語は太宰治文学のなかでもやっぱり少し色が違うし、人間失格とはまた異なった重みの在る作品だと思います。