ネタバレです。










今回は、小説に比べて、かなり大幅なストーリー変更があった。


従ってキャラクターの造形にも大きな影響を与えると考えられる。


異なる点その1は、ガエル・チャンが登場しないこと。


小説では、マリーダ奪還のために、袖付きと組むことになったガエルが、ネェル・アーガマに侵入して、アルベルトと出くわすことになる。その他にも、ガエルがバナージと接触する場面があるが、ガエルが出てこないことで、そのあたりの件はすべてカット。ガエルに言わせていたセリフも一部ダグザが担当。


その2、アルベルトとバナージの関係。


アルベルトはバナージと異母兄弟であることを、まだ知らないことになっている。小説では、この時点ですでにアルベルトは、マーサからバナージと兄弟であることを知らされていて、これがもとで第五巻の最後で、ユニコーンを大気圏に落とそうとする。

ところが、OAD版では、上述の関係から、大気圏突入時にクリムトからユニコーン救出用ワイヤーを射出するシーン自体がなくなった。


これは両者の関係を考えて行くうえで、大きな変更点であり、今後の展開がまたれるところである。異母兄弟だと知るのは、OAD5巻くらいになりそうだなあ。4巻で、そういう話にまで持っていけそうにないし。


その3、ダグザさんの最期。
ガエルが出てこない分、バナージに戦うことの意味や戦場での振る舞いを指南する役割が濃厚になっている。死に際自体も、小説ではシナンジュに攻撃を加えたあと、一瞬で蒸発させられたが、OADでは、バナージに振り返って敬礼する仕草が追加された。


ダグザさんとバナージとの心理的な距離の近さを表すとともに、バナージに、歯車には歯車の生き様をきちんと見せるという表現だったと思われる。全体的ダグザさん、小説よりいいやつになっている。


その4、ギルボアさんの最期。
小説では、接近するガランシェールを庇う形で四肢を広げたギルボアギラ・ズールを、NTーDに取りつかれたバナージが撃ってしまうシーンだった。


OADは、ガランシェールではなくて、シナンジュを庇ってバナージに撃たれる状況に変わった。撃たれた直後のフロンタルの眉一つ口元一つ動かさない鉄面皮のカットが加わって、さらにフロンタルの冷徹さが強調される効果をもたらした。

ギルボアさんが撃墜された時、ティクバ母ちゃんを頼むぞというセリフがニュータイプ的にバナージに伝わってきていて、4話でバナージがやさぐれるきっかけをちゃんと残している。


その5、マリーダさんの過去描写。

小説に比べて、全体的にかなりマイルドになっている。

まあ、小説がだいぶ生々しい表現だったから、映像にするんならやむを得ない変更か。限定BDについてくる、シナリオブックを読むと、完成映像では、シナリオブックよりももう少しマイルドにされているように感じた。

ここは、雑誌かなにかで監督と脚本と福井氏とで激論を交わした場面だったと読んだところだった。確かに表現を巡っては議論になるだろうなあ。


個人的には、もう少し丁寧にゆっくりと場面を描いてもよかったのではないかと思うけどなあ。マリーダさんの過去に対する悲しさがやや薄まってしまったのでは?とはいえ、生プルとグレミー、量産型キュベレイが出てきたのはGOODだったけど。



とまあ、あれこれ変更点ありますが、いずれにしても効果的であって、話に不自然さをもたらす類いのものではないと思う。むしろ、小説は相当な情報量が詰まっていて、よくもまあこれだけスマートに纏められるなあと感服致しました。


ここまでOAD出てるけど、どれも完成度が高くて、非常に満足度高いです。次の話にも自然と期待が膨らむぜ!!