久々にウイスキー党にとってはいい話題!

午後7時過ぎの新宿・歌舞伎町。5月28日にオープンした「築地銀だこ」の立ち飲みスペースでは、スーツ姿の男性客がたこ焼きをツマミにジョッキを空ける。男性客が手にしているのはビールではなく、ハイボール。実はこの立ち飲みスペース、「築地銀だこハイボール酒場」と銘打った銀だこの新業態なのだ。

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 夕方5時からのバータイムになると、スパイシーなソースをたこ焼きに付けて、レタスに包んで食べる「レタスdeたこ焼」など、アルコールに合うメニューも登場する。同チェーンを運営するホットランドによれば、今後も首都圏の繁華街を中心に「築地銀だこハイボール酒場」を展開する計画という。6月8日には人形町店もオープンした。

 ハイボールと聞いて、「懐かしい」と感じるのは40代以降の方だろう。もともとはアルコールの炭酸割りを指す言葉というのが一般的な理解だが、焼酎の炭酸割りが「チューハイ」として定着したため、最近ではウイスキーの炭酸割りを指すことが多い。昭和30年代に庶民の間で爆発的人気を誇ったトリスバーの主力商品で、トリスウイスキーハイボールは「トリハイ」「Tハイ」とも呼ばれ親しまれた。このハイボールが今なぜ復活の兆しを見せているのか。

ウイスキー、11年ぶりの増産へ

 ブームを仕掛けているのはサントリーだ。昨年秋から女優の小雪やお笑いコンビのおぎやはぎらを起用したテレビCMを放映するなど、ハイボールを積極的にアピールしている。

 これまでウイスキーは50〜60代が家で飲むために購入することが多かった。サントリーは、30代を中心とする若い層にもファンを増やすため、居酒屋や立ち飲み屋、バーなど外食産業での接点に着目。「角瓶」で作ったハイボール、「角ハイボール」を取り扱う飲食店数を昨年までの数千店から2万8000店まで増やし、年内の目標だった2万5000店を既に上回った。

 また「築地銀だこハイボール酒場」歌舞伎町店では、冷えたハイボールを手早く提供できる「角ハイボールタワー」と名付けた専用のサーバーを設置している。昨年7月の店舗リニューアルを機に、全国で一番早くサーバーを設置したのが銀座コリドー街にある「立呑み マルギン」。同店は、“サーバー効果”もあって平日でも1日で300〜350杯のハイボールが売れるという。金曜日ともなれば500杯を超えることもあるようだ。サントリーによれば現在、全国の約240店にこのサーバーを設置しており、年内に約500店舗にまで拡大させる予定という。

 自宅で飲んでもらうためのアピールも活発だ。Webサイト上に「ハイボールの作り方」を載せたり、ブロガーを招いての講習会を行うなどして、Webを利用してハイボールの認知向上を狙った。現在、Googleで「ハイボールの作り方」を検索すると、個人ブログや動画などを合わせ10万件以上のページがヒットするまでになった。

 これらの取り組みが功を奏し、サントリーの主力商品である「角瓶」は1〜5月で前年比112%の販売増となった。ウイスキー全体でも前年を超えた。さらに、酒税改正の影響もあった1998年以来、11年ぶりにウイスキーの増産を決定。今年のウイスキー総生産量は約550万ケースと見込む。

 6月9日にはコンビニエンスストアで、「角ハイボールセット」(980円)を限定発売。セット内容は、「角瓶 ポケット瓶」(180ml×1本)、「サントリー ソーダ」(200ml×1缶)、「特製 角ハイボールジョッキ」(1個)。これもコンビニをよく利用するといわれる若い層を狙った戦略だ。

食中酒になり得る飲みやすさがポイント

 サントリー酒類、スピリッツ事業部ウイスキー部課長の田中嗣浩氏は、「20〜30代がウイスキーに感じていた『年配の方の飲み物』というイメージを変えたかった。ソーダで割ってハイボールにすることで飲みやすくなり、『自分たちにも合う飲み物』と認識してもらうことを狙った」と話す。実際に、販促を開始してから20代、30代の購入者は増えているという。サントリーの販促活動に加えて、ブームを牽引しているのは何なのか。分析してみた。

若者には新鮮? 前述した通り、30代よりも若い層にとって、ハイボールは未知の飲料。あるいは名称は知っていても作り方を知らないことがほとんどだ。こうした層にとっては、ウイスキーを炭酸で割るという飲み方自体が斬新に感じられているようだ。田中氏は「Web上で広まっているのも、誰かに教えたくなる新鮮さがあるからでは」と分析する。

 また若い女性層にもハイボールは受け入れられている。例えば、サントリーは、グループ会社ミュープランニング アンド オペレーターズとの共同開発で、08年12月3日、洋酒バル&バーラウンジ「Splitz' Aoyama(スプリッツ アオヤマ)」を東京・南青山にオープンした。メインターゲットは働く女性だ。同店は、通常のハイボールよりアルコール度数を抑えたソーダ割りの「スプリッツ」(380円)や、各種ウイスキーなどを提供している。ここを訪れた26歳の女性会社員は、スプリッツを飲んだ印象を「カクテルと同じように飲めておいしかった」と話す。女性にも「今までなかった飲み物」として肯定的にとらえられている面もあるようだ。

アルコール度数が低い 市販のウイスキーそのもののアルコール度数は一般的に約40度前後。数年前にサントリーが若者向けに提案した「ハーフロック」は1対1でウイスキーを水で割る飲み方で、アルコール度数は約20度だった。ハイボールは1対3から1対4で割り、8〜10度を想定している。「ハーフロックが強いと感じた人でも飲めるのでは」(田中氏)。炭酸で割ることでさっぱりとした口あたりになることも合わせ、食中酒として飲めるようになったと言えるだろう。果汁入りのチューハイなどと比べて甘くないので、揚げ物などとも合う。この結果、バーなどで、ウイスキーを飲むこと自体を楽しむだけでなく、居酒屋や立ち飲みでつまみを食べながら、仲間とワイワイやりながら飲めるものになった。

安い 居酒屋や立ち飲み屋でのハイボールの価格はビールよりも安い(おそらく量は少ないが)。「築地銀だこハイボール酒場」では300円、対するビール(ザ・プレミアムモルツ生)は400円となっている。加えて、最近は不景気の影響で飲み会1回あたりの時間が短くなり、客単価も低くなる傾向にある。会社帰りに同僚と「軽く2000円くらいで」という飲み方が主流だ。こうなると、安いハイボールを選択する人が増える。

 家で飲む場合でも安い。「角瓶」(700ml/1485円)は1瓶で約23杯のハイボールを作ることができる。スーパーなどで割安に角瓶を購入すれば、炭酸水と氷の値段を合わせても、1杯100円程度。不況の影響で消費が減るなか、家でもより廉価なハイボールへ消費者が移行したことも考えられる。

巣ごもり消費 「消費者の帰宅時間が早くなっていることも影響しているのでは」と田中氏。自宅で飲んでくつろげる時間が長くなっていることで、ビールより長い時間楽しめるアルコールへの需要が高まっているのではないかというのだ。この結果、自分で作るひと手間をかけて、自分好みの濃さに調節できるハイボールに人気が集まっているのかもしれない。さらに、グラスや元となるウイスキーを冷やしておくといったノウハスや、果汁を加えるなど、「自分流」の作り方や飲み方を楽しめるのも魅力。また、若者の間で「宅飲み(飲食店ではなく仲間の自宅で飲食物を持ち寄って楽しむこと)」が広がっていることもあり、このときに自分で作れるハイボールを選択するケースも増えているようだ。

低カロリー 現代は健康指向であり、メタボに気を使う人が増えている。このため、発泡酒缶チューハイでも、カロリーを押さえたものがヒットしている。ハイボールに使うウイスキー蒸留酒のため、もともとカロリーが少ない。カロリーを考えて、ビールではなくハイボールを選ぶ消費者像も想定できる。

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 サントリーはこれまでも、「ウイスキーと食のマリアージュ」、「シングルモルトとショコラのマリアージュ」、「山崎蒸溜所ツアー」など、ウイスキーのファンを増やす試みを継続的に行ってきた。ハイボールを打ち出したのもその一環だ。市場は動きつつあるものの、「まだまだサワーの20分の1の市場」(田中氏)だ。

 80年代、若者を中心としたチューハイブームをきっかけに、チューハイは居酒屋や自宅で市民権を得た。若者への訴求をきっかけにハイボールも市民権を得ることができるのか。年配の方がバーや自宅などでじっくりと一人で飲むイメージの強かったウイスキーが、テレビCMのように大勢で飲み交わされるアルコールとなるのか。サントリーの挑戦はこれからが正念場だ。

(文/小川 たまか=プレスラボ)

日経トレンディネットから引用。



実にうれしい。本当にうれしい。


私の周りでは本当にウイスキーを飲む人がいない。本当にいない。


ハイボールでもいいからウイスキーを飲んでくれる人がいると本当にうれしい。


ウイスキーが増産になったということだし、これで我々ウイスキー党は肩身の狭い思いをしないで済むってもんだ!!


うれしいなあ!!