夜のピクニック (新潮文庫)

夜のピクニック (新潮文庫)


嗚呼、この本高校生の時に読んでおけば良かった!!!


まず読み終わって思った感想。


それくらい、高校生の心情が豊かに表現されていて、面白かった。久々に小説を読んでいて感情移入してしまった。というより自分の高校時代と重ね合わせて読んだのだ。


北高の伝統行事、歩行祭。24時間かけて80キロを歩くという行事。全校生徒で一昼夜をかけて歩きとおすという行事。その中で展開される高校生達の物語。


主人公の甲田貴子、西脇融は3年生になって初めて同じクラスになった。それまで一度も会話を交わしたことはない。そして同じクラスになって半年、それでも一度も会話したことがない。


この二人には人には言えない秘密があるのよーーー!!!


って感じ。



ただ夜通し歩くだけなんだけど、昼から深夜にかけてただ歩くという、時間と空間を共にしていることで、普段は話せないようなことをじっくりと話しをしていく状況が生まれてくるわけです。


そういうのって、修学旅行とかで誰しもが味わったことじゃないですか?


私も夜の川辺で集まって一晩遊び明かしたり、一晩中カラオケに行ったりと、なんかそういうことを思い出したのです。



80キロを歩き続けるという体力の限界の中で、いろいろな秘密が明かされていき、その中で揺れ動く高校生の心に、私は在りし日の懐かしさと青き春を思い出したわけです。



「みんなで、夜歩く。ただそれだけのことがどうしてこんなに特別なんだろう」




高校生って、あの時しか味わえない、独特の感覚が備わってる。


この小説は、すごくそれに近いと思う。微妙な心の描き方は、解説にあったように、名作だと思う。


子供が高校生になった時に、読ませてみたい。


私が高校生だった頃、読まなかったことが悔やまれる。




もっと本を読んでおけばよかった。