みだれ髪 (新潮文庫)

みだれ髪 (新潮文庫)

与謝野晶子『みだれ髪』

せっかくよいブックレビュー出来たのに消えた・・・・

なのでよい歌だけを挙げておきます。

その子二十櫛にながるる黒髪のおごりの春のうつくしきかな

やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君


上の2首は与謝野晶子の本髄とも言うべき歌。結構有名だし、知ってる人も多いのでは。兎角情熱的です。

湯あがりの御風めすなのわが上衣ゑんじむらさき人うつくしき


臙脂紫という色に恋情を掛けた歌。今のピンクとか赤とかの下卑た色ではなくて紫や薄紅、園児といった滋味に富んだ色で慕情を表す与謝野晶子ってすごい。内から沸々と沸きあがる想いの色って感じがする。

清水へ祇園をよぎる桜月夜こよひ逢ふ人みなうつくしき


意外に多いのが京都の歌。与謝野鉄幹と旅行に来てたらしい。清水から祇園のあたりの様子がありありと目に浮かぶようですよ。円山公園とか青蓮院のあたりがさぞかしきれいだろう。


あと一つ言うべきなのは、表紙ですよ。独特の字体で「ミだれ髪」と書かれて、ハートをあしらっている表紙からして、恋焦がれる女の気持ちが顕現しているようです。


新潮文庫も原本の表紙をうまく使ってしかも雰囲気を損なわないようにするなんて、いい仕事しているじゃないか。グッド!


たまたま家にあったのパラパラとめくっていたので書いてみました。