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- 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
- 発売日: 2000/11/25
- メディア: DVD
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簡単なストーリーをいうと、主人公ロラン・セアックは月からやってきた少年だ。ロランが地球に降りてから2年後、月から地球に帰還しようと月の女王率いるディアナ・カウンターがおりてくる。
地球での暮らしになれ、成人式を迎えようとしたとき、ディアナ・カウンターの軍隊に地球の街が攻撃される。成人式を行おうとしていた山からホワイト・ドール、ターンAガンダムが現れて…っていう月と地球
∀ガンダムを読み解く上でいろいろキーワードはありました。黒歴史、進化、闘争本能、欲望などなど。
これまでのガンダムを総決算した上で、人類のあり方を問う物語と書いたら大げさでしょうが、富野はそういうメッセージを含めた作品にしたかったんでしょうね。
なにが面白いって、それぞれの登場人物の方向がはっきりしていること、わかりにくいけどわかりやすい話だったこと、ガンダムに対する固定観念を払拭しようとしたこと。
こんなことあたりでしょうか。詳しくはのちほど。
後ほどの感想です。このアニメ、完成度高いです。文句なしかも。モビルスーツのデザインも、私は斬新だと思います。
シド・ミードのデザインはこれを通して見て、考え直すことができました。放映当初はヒゲと揶揄され、他のウォドムとかスモーとかもおかしなデザインだと思っていました。
しかし特にターンAガンダム自体のデザイン及び設定は画期的です。ファーストガンダムに回帰しつつも、随所に散りばめられた新しいモビルスーツ論。
足の裏のスラスター、豚・牛も載せちゃう胸のマルチパーパスサイロ、ナノマシンによる自己修復機能、月光蝶など。
シンプルでかつ既成「ガンダム」概念をぶち壊して、新たに創出された「ガンダム」だと思います。ゆえにターンA以上のものをつくろうと思うとかなり難しいのではないかと。
現に今放映しているMSデザインは、既成のもの(ビームシールド、ヴェスバーもどき、ファンネルもどき)をただ組み合わせて、ゴテゴテテレビ映えするだけのモビルスーツという気がします。
それに比べターンAはシンプルスタンダードですね。劇中の活躍も目覚しい。私は劇中の活躍と作画を見ることで、かなり評価があがりました。だってダサいはずなのに、演出と作画と台詞でかっこよく見えちゃうんだから。スタッフともどもいい仕事してると思います。
主人公ロラン・セアックもガンダムにしては珍しく、いい少年です。まともといっていい。でもまともであるがゆえに、主人公特有の強烈さが描ききれていないところはありました。その他のキャラが多少まともじゃないところは、それをフォローしているのかもしれません。
それでもキャラ自体は立ってて、それぞれの思惑が複雑かつストレートに絡み合っています。
地球の独立・産業革命を図る人、月から地球に帰還して入植しようとする人、平和的に入植するのではなく、武力で制圧しようとする人、地球において宇宙世紀を滅ぼした古代文明の上に築かれたその当時の文明*1を再度ぶち壊して、新しい世界を作り出そうとする人、それをとめて美しい地球を守ろうとする人。
これら登場人物が共通の歴史を共有して、それぞれに解釈して認識して行動をとっていくのです。共通の歴史とは黒歴史のことです。
これってターンAのテーマのうちの一つではないでしょうか。ストレートには戦争とか闘争本能という言葉で出てくるみたいですが、戦争を喚起したのは歴史認識の差異にあった。全体としてみても歴史とその認識という流れは底のほうにあるように思われます。
同じ黒歴史を共有しているのに、宇宙世紀の文明を復活させようとする人、それを止めて宇宙世紀が滅んだ道を歩まないように努力しようとする人、認識はそれぞれで、対立しています。
富野氏がそういうことを考えていたかどうかはわかりませんが、一歴史学徒の目から見てみると、歴史認識と行動というテーマを読み取ることもできますね。
こうかくとこのアニメが非常に問題提起をしているように見えてしまいますが、確実なのはエンターテイメントとして一流のアニメだということです。普通に面白かった。
こういうテーマについて文豪が書いたら深くて考えさせられるものになるんだろうけど、アニメって言うだけでエンタになっちゃうんだから、世の中ってうまく出来てるよ。小林よしのりなんかはエンタの特質を逆手に取った人だと思うけど。