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- 作者: 福井晴敏
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/07/16
- メディア: 文庫
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面白かった。
守るべき国を亡くしたイージス艦の話です。
すごい迫力です。終戦記念日に読むには相応しい本だと思います。60回目の戦後にしてもう一度この国のあり方を考えなければならないのでしょう(本とは関係ない)。
日本国に息子を殺されたイージス艦の艦長。北朝鮮の再建を目論むテロリスト。両者が手を組み、アメリカが開発した大量破壊兵器をイージス艦に搭載して、日本政府に脅しをかける。
イージス艦を取り仕切る先任伍長と政府から送り込まれた工作員が、苦境に陥りながらも大量破壊兵器の使用を阻止すべく画策する。という話です。
そんでもただの戦争ストーリーではありません。人物描写も細かく、一人一人の感情と物語が細部まで絡み合って、ストーリーを構成していきます。
他のイージス艦を撃沈したり、戦闘機を撃墜し、潜行してくる日本政府の工作員を魚雷でぶっ飛ばしたり、艦内でドンパチ始めたりと戦闘シーンも一定のリアリズムを提供しています。
でもなにがリアルに見えるかって、人物が躊躇するところなわけですよ(解説より)。息子の復習復讐をすると決めた艦長、普段は訓練しかしてない先任伍長なんかは、人の死や反乱になるにつれて、激しく動揺し、かつ立ち向かおうとしています。
また自衛隊のイージス艦が反乱を起こしたという前代未聞の事件に際して、中央の警察庁や自衛隊幕僚長、防衛庁の情報部、内閣総理大臣たちが内輪もめをするわけです。どこに責任があるのか。
まさに「見ていろ日本人。これが戦争だ」って感じです。今。日本で戦争が起こったらこんな感じなのでしょうか?それに加えて泣かせる演出まであるんですから、なかなかすごいぞ福井晴敏。
でもこれって日本推理作家協会賞を受賞してますし、多分にミステリー的要素を含んでいます。実際なんども「なに!?」って思わされるところも多かったし。
ただ一言いうなら若干艦内の描写がわかりにくくって少し理解しにくかったことはありますね。あと長い(長いけどちゃんと複線とか拾えてるのでいいです)。
今映画も公開中だし、タイムリーでしたね。見に行くかはわかんないけど。
丁度今日は終戦記念日です。この本はエンターテイメントですが、読みようによっては戦争について考えさせられる、そんな本ですね。
しかも結構登場人物を殺していくんです。そんなところは割りとガンダム的です。死ぬ間際に至って、もののように殺されてしまう。すぐに肉塊になってしまう。
福井氏自身、ターンAガンダムの小説かいてるくらいだから、富野由悠季の影響を受けているんでしょうね。個人の生い立ちとそこから生まれる性格から書き込んで、それをうまく物語の中で利用していく、なんてのは共通するところなのではないでしょうか?
こんな考察してもしょうがないですけど。要はエンターテイメントとしても戦争を考える材料としても面白かったと言うことです。
今日から世帯主は帰省です。淋しいですが、実家で羽を伸ばしてきておくれ!
●追而書
突然ですが、妻夫木聡ってかっこいいよね。髪黒いのにかっこいいところがすき。でもドラマは見てません。