ヴィヨンの妻 (新潮文庫)

ヴィヨンの妻 (新潮文庫)

 今日は太宰治ヴィヨンの妻』を読みきりました。
 短編集なんだけど、徐々に破滅的になっていくのね。最後の方は、飲んだくれの父、家で泣く妻、貧しい子供たちという主題で話が展開していきます。「桜桃」なんかは最後に玉川上水とか出てきて、死を予感させる感じです。非常に暗い。でもそれくらいのほうが、こちたに訴えてくるものがあり、人をひきつけますね。
 解説には家庭へのエゴイズムとか出てくるけど、「家庭の幸福というのは諸悪の根源」だと述べているものもあるから、なにか厭になるものがあったのでしょうね。

 にしても最近は太宰の後期の作品に魅かれるものがありますね。
ああ、私は淋しい人間です。