清佑、ただいま在庄

清佑、ただいま在庄

岩井三四ニ『清佑、ただいま在庄』


時は室町後期、京都の大寺の代官として和泉国坂巻庄に赴任した僧清祐。


現地では、かんばつや儀式、近隣地頭との戦い、庄民との駆け引きの日々が始まる・・・



とまあ、マニアックなテーマの小説です。でもこれ、結構面白いです。


時代考証なんかは割りとしっかりしていて、読んでいて当時の風景が甦ってくるような感じです。荘園を管理するのは現地の預所とか政所というのですが、そこでの暮らしや、政所にやってくる庄民たちが描かれています。


旱魃や水害に見舞われる荘園、旱魃や水害を止めるために行われる怪しげな儀式、湯起請、地頭の不穏な動きなどなど短編になっています。



どの話も知りきれトンボな印象をぬぐえないのですが、その時代時代の庶民は何をしていたんだ!?と思う方は読んでみたらいいと思います。信長や秀吉の歴史では描けない、当時の生々しさを感じることができるかと思います。