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- 作者: 中沢新一
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2004/11/17
- メディア: 新書
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ツンドクしていて、目が合ったのでついつい読んでしまった。しかも2週も。
網野善彦といえば、超有名な中世史家。中沢新一はその義理の甥なのです。
この本は中沢氏が小さかった頃網野善彦と出会い、いろんな話をしていって、網野善彦の頭の中を垣間見させる内容になっています。
網野善彦といえば、従来の農業を中心とした史観に一石を投じ、中世には非農業的な世界が広がっていたこと(職人や芸能民、非人など)、そしてその非農業民が天皇と直接的なつながりを持っており、天皇は農業世界と非農業世界を同時支配していたこと、その支配のあり方が現在まで繋がる天皇制の根源になっていることなどを明らかにして、中世史の位置づけを変えてしまった人です。
中沢氏はその甥として、網野善彦といろいろな会話をしていました。
網野善彦が非農業世界に目をつけた理由がわかるような気がしました。網野善彦は民俗学的な手法を使ったりしているけども、それは中沢新一の父との会話や祖父の著作を読んだりしていたからなんですね。
中沢一家は生態学をやる祖父がいたり、コミュニストの父がいたりと、特殊な環境です。そこに網野善彦が入ってきた。中沢氏自身も宗教学者ですから、そういう一家なのかもしれません。
網野さんは『無縁・公界・楽』を未来に向かって投げ出した。私たちの時代は、その未来にまだ追いついていない。
網野善彦は本当にいろいろな問題を投げかけたまま、逝ってしまいました。
網野善彦の書く本の面白さって、たくさん考えることが出てくることなのかな。
これを読んでいてふとそんなことを思いました。
網野善彦の入門書として、いいかもしれません。