かわいそうな武士の話

 なんだかかわいそうな武士がいるので、紹介しようと思います。うろ覚えなんですが。


 南北朝時代の中国地方、吉川経朝(きっかわつねとも)という武士がいました。彼は足利尊氏の軍勢に従って各地を転戦。彼の家来は手傷を負い、自身も傷を負って、軍忠を挙げました。


 んで、恩賞として将軍から御文をいただきました。戦った給料としてある土地をいただきました*1。よし!給料だ!バシバシ領地を治めて年貢取るぞ!と思った矢先、現地へ行ってみるとすでに領主がいます。


 経朝「なんでだ!?なんで領家(土地の領主)がいるんだ!?ここは俺が恩賞としてもらった土地だぞ!」


 領主「なにをいう!代々知行(土地を治める)してるわい!」


 経朝「畜生!!訴えてやる!!」



 ということで、室町幕府に訴えを起こします。しかし幕府は寺社本所領(公家とか寺、神社の領地)の保護政策を基本方針にしています。だから武士の領地保護には消極的なわけです。


 なので、幕府からは「恩賞として下賜した土地の分は替地をあげます。だからその土地は領家の知行としなさい。」といわれてしまいます。


 その上、「敵が蜂起した!だから経朝さんも幕府に味方して来ておくれ」という命令が届き、恩賞ももらえないまま、再度出陣する羽目に。


 「そんなんじゃ身が持たないよー!頼むから領地ください!!」って経朝さんが幕府に申請した文書にこんな感じの経緯が記されていました。


 
 いやー経朝さんかわいそうですな。給料はあがらないけど、仕事量は増える。現代のサラリーマンに通ずる悩みだなあと思いました。


 はるか650年前からそんな感じなんですから、今も昔も変わりませんなあ。



 さて、ちょっと息抜きに小説でも読むべ!

*1:当時は武士に対して土地を宛行(あてがい)、そこから毎年取れる年貢を武士の年収にしていました。だから土地の権利を付与されることは、武士からすれば死活問題だったのです。