夏と花火と私の死体 (集英社文庫)

夏と花火と私の死体 (集英社文庫)

 これの表題作を読了。結構乙一にはまってます。村上春樹も捨てがたいのですが、文章がライトなので読みやすいし、こういう話も好きなのでつい読んでしまいます。

 で、中身はといいますと、16歳でデビューしたときの作品だということを念頭に置きつつも、結構面白い作品だったと思います。文章は稚拙なところもあるし、強引な展開も多少目に付くのですが、それでも最後がよかったです。

 話はある村で殺人事件がおきて、その犯人である弥生ちゃんとその兄の健くんが死体を隠蔽しようといろいろ画策するというものです。

 最後の最後まで死体を運んでいくことが出来るんだけど、ほんとに隠せる目前でばれてしまいます。その人が健くんのあこがれる緑さんというお姉さん。

 しかし、そのお姉さん、実は近県で発生していた誘拐犯で、死体を彼女が勤めるアイスクリーム工場の冷凍庫に隠してしまう。

 という話でした。オチが結構意表を突かれた感じです!緑さんがたくさんアイスクリームを持ってよく遊びに来ていたのは、若干の複線だったのかもしれません。

 んでこの話のもう一つの特徴は死んだ五月ちゃんが幽霊となって二人の行動をずっと見てることなんです。淡々と。なにをするわけでもなく。五月ちゃんの視点から話は展開していきます。最後に

わたしは緑さんに連れてこられて、この寒いところにやってきました。

 中略

わたしとその誘拐されてここに連れてこられたお友達の歌う『かごめかごめ』の歌は、向上の倉庫に荒涼と寂しく響いていくのでありました。

で締めくくられます。これがなんともいえず、背筋が凍るような感じがして(というのは大げさ)、終わりよければすべてよし!という感じでした。


 それから今日地元の方で大きな地震がありました。震度5強だそうで。首都は交通機関が麻痺し、みんな大変そうでした。被害は塔が倒れたとかなんとからしいですが、ほとんどないそうです。
 いずれにしてもこれくらいの地震で交通機能麻痺するんだから、ほんとに大地震がきたら、救命病棟24時が示してくれたことは現実のことになるんでしょうね。

 天変地異は避けがたし、さりとも人災をさけることもなしがたし。